毎日がクリスマス

カトリック司教 幸田和生のブログです。説教メモなど

大震災から3か月、そして聖霊降臨

聖霊降臨の主日に赤羽教会で堅信式の司式をしました。

●聖霊降臨の主日の説教(ヨハネ20・19-23)

 昨日は東日本大震災の発生からちょうど3ヶ月目にあたる日でした。実はわたしは昨日まで三日間という短い期間でしたが、震災後はじめて被災地を訪問することができました。なかなか時間がとれずに行くことができませんでした。この間、東京でできることをいろいろ考えて、カトリック東京ボランティアセンターを立ち上げました。なんとか東京からのボランティアがスムーズに現地に行けるようにと試みましたが、とにかく現地の状況がどんどん変わっていくので、簡単には進みませんでした。やはり現地を見て、現地で働いている人たちと話をしなければ、というのが今回行った1つの目的でした。
 仙台市の荒浜地区、南三陸、石巻、塩釜。三ヶ月たって、復興がすすんでいるところもあれば、ほとんど手付かずというところもありました。避難所から仮設住宅へという動きが進んでいましたが、半壊の住宅に取り残されている人たちの問題や、仮設住宅に入れば何の支援も受けられなくなってしまう不安を抱えた人たちの問題なども、じかに聞くことができました。
そして仙台教区サポートセンターで、カトリック教会が被災者のために行っている活動について聞きました。3月16日からサポートセンターの活動は始まっています。活動の中心はボランティアの受け入れです。塩釜、石巻、釜石、米川という教会をボランティアのベースとして開いてきました。そこに全国から来たボランティアを振り分け、寝床と食事を提供して、地域の被災者のために働いてもらうのです。食事や生活面のお世話は全国からシスターたちが交代でやってきて、作ってくれています。助かっています。サポートセンターの事務局の中心は仙台教区の司祭ですが、実際にそれを動かしている中心スタッフはカリタスジャパンのスタッフです。わたしはカリタスジャパンの担当司教もしていますので、よく知っている人たちでしたし、他のスタッフもほとんどが知り合いでした。あるスタッフがこう言いました。
「とにかく何かしなければということで始めた。そこに人が集まってきた。いろいろあったけれど、奇跡的になんとかうまく活動ができている」
 そしてこう言いました。
「わたしたちは皆、変わりました。いい意味だと思うんですけど。私たちは皆、ここでいろんなことを学んでいます。成長していると思います」
この言葉がわたしには印象に残りました。
 サポートセンターには、いろんな人がやってきます。ボランティアしたいと言いながら、自分の満足のために自分のやりたいことをしようとする人。あれをしてくれ、これをしてくれと要求ばかりの人。被災者支援はこうあるべきだと上から押し付けてくる人。そういう人々の中で、小さな力を合わせて、被災者のために何ができるか、日々真剣に考えているわけです。そして、身に付くのは「忍耐力」だということでした。集まった善意をなんとか調整して、少しでもいい方向に持っていく。そのためにスタッフに必要なのは人に対する忍耐力。おそらく東北の人がもともと持っていた忍耐力も影響を与えているのかもしれません。その話を聞きながら、わたしは、「ああ、まさにこれが聖霊の働きではないか」と思いました。
 一人一人の心に働きかけて、人が人を受け入れるようになっていく。そういうふうに人の心が少しずつ変わっていき、すばらしいものが生まれてくるとすれば、そこに聖霊の働きがある。本当にそうだと思います。
 第一朗読の使徒言行録では、言葉の違う人々が互いに理解し合い、受け入れ合う教会の原点の姿が伝えられています。第二朗読も、体がさまざまな部分からなっているように、教会もいろいろな人からなっていて、でも一つの体なんだということが強調されています。そしてヨハネ福音書。「聖霊を受けなさい。だれの罪でも、あなたがたがゆるせば、その罪はゆるされる。だれの罪でも、あなたがたがゆるさなければ、ゆるされないまま残る。」
 聖霊は、ゆるす力なんですね。それはまさに忍耐力だといえるのではないでしょうか? 堅信を受ける皆さん、どうか聖霊によって、忍耐力を身に付けてください(変なこと、言っていますか?)。ただじっと我慢するというような忍耐力ではありません。まわりの状況がどんなときも、どんな人に出会っても、神様がなさる一番いいことを見失わないで、そのために人と力を合わせて働く。そのために人を受け入れる。どんなときも愛と信頼を持ち続ける忍耐力です。その力は神様からしか、聖霊からしか来ません。
思えば、四旬節の始め、灰の水曜日の二日後にあの地震と大津波が起こり、聖霊降臨の主日の前日が丸3ヶ月ということになりました。何か不思議な気がします。今回被災地に行って思ったことですが、わたしたちの人生の中であの大震災が起こったということも不思議なめぐり合わせです。その不思議なめぐり合わせの中で皆さんは今日、堅信の秘跡を受けます。どうか神様が皆さんの人生を力強く導いてくださいますように。この秘跡によってキリストの弟子として強め、社会の中で、学校の中で、信仰と希望と愛をもって歩むことができるよう、聖霊の助けと導きを祈りながら、今日の堅信式を行いましょう。



下の写真は先週、被災地を訪問したときのものです。
塩釜沖の寒風沢島というところですが、瓦礫がまだほとんど手つかずの状態でした。

sabusawa

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