毎日がクリスマス

カトリック司教 幸田和生のブログです。説教メモなど

主の降誕・日中のミサ



写真は原町教会の祭壇前の幼子イエスです。
日中のミサの説教メモをあげておきます。

なお、来週1月1日(日)も原町教会のミサは通常どおり、10時です。
みなさま、どうぞよいお年をお迎えください。

●主の降誕・日中のミサ
 聖書箇所:イザヤ52・7-10/ヘブライ1・1-6/ヨハネ1・1-18
                         2016.12.25原町教会
 ホミリア
  「東京には空がない」。高村光太郎の『智恵子抄』の中にある有名な言葉です。「智恵子は、東京には空がない、という」。高村智恵子さんは二本松の出身で、安達太良山の上に見える空が本当の空だと言ったそうです。わたしは二、三年前、二本松で空を見て、しみじみそう思いましたが、ここ浜通りに来ても、同じように感じています。東京にいるときは感じないのですが、福島に来て、本物の空を見たときに、「やはり東京には空がない、ここに本当の空がある」と感じます。最近ここで見る夜の星空もすごいですね。
 神はこういう大自然をとおして語りかけてくださっているのを感じます。大自然の素晴らしさ、あるいは脅威・恐ろしさをとおして、わたしたちは神の語りかけを聞くことができるでしょう。大自然はあまりにも大きく美しい。そしてわたしという人間はあまりにも小さく、醜い。でも、その中で不思議にもわたしが生かされていることを感じるとき、神の愛に包まれていることが分かります。

 人をとおしても神は語りかけてくれます。何よりも幼いときに親からかけてもらった愛情、手厚い世話、たくさんの言葉。どれだけ大きな愛に包まれて、人は生きてきたことでしょうか。親だけでなく、周りの人にどれほど支えられて生きてきたことでしょうか。そのすべてをとおして、神はわたしたちに、「あなたは生きていていいんだ。あなたが生き、成長し、新しいいのちを産み出すことを、わたしは望んでいる」、というメッセージを伝えくれます。
 人が作ったもの、芸術作品をとおしても、神は語りかけてくださっていると言えるかもしれません。音楽、絵画、彫刻、建築作品。そういうものをとおしてもわたしたちは神の語りかけに触れることができるでしょう。
 なぜ人は生きるのか。それは究極において、神が生かしてくださっているからです。いのちの源、すべてのいのちの造り主である神がわたしたち一人一人を生かしてくださっている、そして神はわたしたち一人一人に特別な使命(vocationとmission)を与えてくださっている。そのことをわたしたちはいろいろなものを、出来事をとおして、知ることができます。それらのものや出来事は神の語りかけだと言えるでしょう。

 神は語りかける。でも最高の語りかけは、イエス・キリストだと聖書は言います。
 第二朗読のヘブライ人への手紙の冒頭にこうありました。
 「神は、かつて預言者たちによって、多くのかたちで、また多くのしかたで先祖に語られたが、この終わりの時代には、御子によってわたしたちに語られました。」
 旧約聖書の預言者の言葉ももちろん神の人間に対する語りかけ。でも、このイエスこそが神の最高の、決定的な語りかけだというのです。
 ヨハネ福音書もそう言います。「言は肉となって、わたしたちの間に宿られた」
 「肉」というのは人間のことですが、弱く滅びゆくものとしての人間を指すときに使う言葉です。「宿られた」というのは天幕を張る。テントを張るというイメージ。永遠の神のことばが、わたしたちと同じ人間として生きられた。人間と同じからだを持ち、人間と同じ言葉を話す方となってくださった。
 その方を見たときに、神がどれほどいつくしみ深い方であるか、神は人間に何を望まれているか、人はどう生きるべきか、そのことを本当に知ることができるのです。
 わたしたちは今日、その方の誕生を祝います。

 12月25日はイエスの誕生日ではありませんね。イエスの本当の誕生日はわかりません。この季節にイエスの誕生を祝うのは、古代ローマの冬至の祭りから来ています。昔の人は冬至を太陽の誕生日と考えたようです。そこから「まことの光」であるイエスの誕生を祝う日がこの時期になりました。
 いつもそれは意味深いことだと思うのです。日が長くなり始めたって感じますか?現代人はなかなか感じません。寒さは続いていますし、これからのほうがもっとすごい寒さがやってくる季節ですね。でも古代の人々は感じていたのです。それでももう日は長くなり始めた。太陽は闇の力に打ち勝つ。
 わたしたちがクリスマスに見つめる光は小さな光です。世界の片隅の、家畜小屋の飼い葉桶に寝かされている幼子の光。ほんとうに小さな光です。この幼子が生まれたからと言って、世界のすべての問題が解決したわけではありません。2000年もたって、いまだに人類は、戦争やテロ、暴力やいじめ、格差と貧困、生命の破壊と環境の破壊を繰り返しています。そこから抜け出せずにいます。
 それでも「光は暗闇の中で輝いている」ヨハネ福音書は今日、そう宣言しました。
 「光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった」
 新共同訳はこう訳しますが、フランシスコ会訳の翻訳のほうがぴったりくると思います。「光は闇の中で輝いている。闇は光に打ち勝たなかった」どんなに闇の力が支配しているように感じられたとしても、闇は小さなともし火を消すことはできません。
 今日、わたしたちは小さな小さな光として世に来られたイエスの誕生を祝います。それはどんなに闇が深くとも、必ず光がそれに打ち勝つと信じ、宣言することなのです。
 メリークリスマス。

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