毎日がクリスマス

カトリック司教 幸田和生のブログです。説教メモなど

聖木曜日 主の晩さんの夕べのミサ

ubi caritas

(写真はミサ典礼書ラテン語規範版第3版の聖木曜日のページからです)

●聖木曜日 主の晩さんの夕べのミサ(ヨハネ13・1-15)
 2014.4.17本郷教会にて

ホミリア
 昨年の聖木曜日は3月28日で、新教皇フランシスコの選出から間もないころでした。その聖木曜日の主の晩さんの夕べのミサを、フランシスコ教皇はローマのカサル・デル・マルモ少年院でささげました。50人の少年院の若者が参加しました。そのうち11人は少女でした。ミサの中で行われた洗足式で、教皇は、同少年院にいる、12人の若者の足を洗いましたが、1人はイスラム教徒、2人は少女でした。これは世界を駆け巡る大ニュースになりました。教皇がイスラム教徒の少年の足を洗った!女性の足を洗った!前代未聞のことです。洗足式で足を洗われる人は「選ばれた何人かの男性」という決まりがあります。それなのに女性が入っていた。キリスト信者以外の少年も入っていた。世界中が驚きました。

 フランシスコ教皇ご自身は何か特別なことをしようとしたのではありませんでした。彼はアルゼンチンにいたときから、聖木曜日の洗足式を、病院や刑務所で行なってきたそうです。教皇は世界に突飛なニュースを発信しようとしたのではなく、その人々、病気の人々や罪人として社会の片隅に追いやられている人々に仕えるという教会の本当のあるべき姿を表そうとしたのです。いやそれは、社会や教会に向かってのメッセージというより、むしろ、その人々に向かって、「神さまはあなたを大切にしています」というメッセージを伝えるためだのではないかと思います。そこであなたはキリスト信者じゃないからダメとか、あなたは女だからダメ、ということはフランシスコ教皇には考えられないことでした。
 たかが洗足式です。わたしが洗足式を行なっても何のニュースにもなりませんが、去年の聖木曜日の洗足式のニュースは世界を駆け巡りました。それは新教皇の示した福音のメッセージがローマの習慣や規則を打ち破ったからです。

 イエスが2千年前、最後の晩さんの席で弟子たちの足を洗ったこと、それもとんでもなく画期的なことでした。主人が僕の足を洗う、先生が弟子の足を洗うなどということはありえないことでした。ペトロは何度も断ろうとしました。しかしイエスは言われます。「もしわたしがあなたを洗わないなら、あなたはわたしと何のかかわりもないことになる」世を去る前に、どうしてもこのことをしなければならない、とイエスははっきり自覚していました。
 そして「わたしがあなたがたの足を洗ったのだから、あなたがたも足を洗い合わなければならない」と教えます。イエスはこの少し後で、別の言葉でも同じことを言っています。「わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい」(ヨハネ13・34、15・12)同じことのはずです。足を洗うということは、僕として仕えるということと意味していました。でもイエスがなさったことは、むしろ上下ということを超えて、ほんとうに相手を大切にするということだと思います。足を洗われた弟子たちはそのことを感じたでしょう。イエスが自分の足を洗ってくれて、「わたしはもはやあなたがたを僕とは呼ばない。わたしはあなたがたを友と呼ぶ」(ヨハネ15・15)そうおっしゃってくださった。あの晩、ほんとうにその愛を心に、そして、体に感じたはずです。

 イエスがわたしの前にひざまずき、わたしの足を手で包み、水をかけて汚れを落としてくださる。イエスがこの行為に込めた思いは体をとおして伝わったはずです。ところが、弟子たちはこの後イエスを見捨てて逃げてしまいます。ペトロもイエスのことを3度知らないと言ってしまいました。弟子たちは何度も何度もつまずき、倒れました。でもその度に立ち上がっていきました。それはあのイエスの愛を知っていたからだと思います。その原点とも言えるのが今日記念しているこの晩の出来事です。弟子たちがいつも立ち返り、そこから再出発していくことになる原点でした。
 わたしたちはどうでしょうか。わたしたちはイエスを見たことも、イエスに触れたことも、イエスの声を聞いたこともありません。でもわたしたちが祈りの心で福音書を読み、心を込めて聖体の秘跡にあずかり、聖霊と今生きておられるイエスに心を開くなら、わたしたちもイエスの愛に触れることができます。

 今日、2000年前のあの晩のことを思い起こしながら、イエスの愛を深く味わい、それに応えて互いに愛し合うことのできる恵みを祈りたいと思います。


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| | 2014-04-20(Sun)08:02 [編集]