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毎日がクリスマス

カトリック司教 幸田和生のブログです。説教メモなど

年間第24主日のミサ



写真は南相馬市原町区、磐城太田駅の近くの風景です。
いつのまにかこんな季節になりました。

ところでこの前の日曜日は、都内某所で行われた独身男女のための黙想会の最終日でした。
テーマは「召命(vocation)」。
以下は、最後のミサのための簡単なメモです。

●年間第24主日
 聖書箇所:シラ27・30~28・7/ローマ14・7-9/マタイ18・21-35
        2017.9.17東京・上野毛黙想の家にて
 ホミリア
 今いる福島の話はあまりできなかったので、最後にしたいと思います。
 2011年3月の福島第一原発事故は多くの分断をもたらしました。
 原発から半径20キロの線で警戒区域が設定され、その中に住む人は全員避難を余儀なくされました。4年以上もの間、強制的に土地から引き離されました。20キロから30キロの地域は最初、屋内退避という指示が出されました。「外に出てはいけない」という指示。そんな地域には援助物資を積んだトラックも入ってこなくて、すごい形で孤立していたそうです。原町教会はこの地域にあります。その後、半年は「緊急時避難準備区域」に指定され、「まだ何があるかわからないから、高齢者や子どもは住まない方がいい」と言われました。その時点で、子どもを遠くの親戚のもとに避難させた人もいました。でも動けなかった人も大勢いました。同じ仮設住宅に住んだ人の中にも、原発事故の警戒区域からの避難で東電から補償が出ている人と、津波で家を失い、何の保証も受けていない人がいたりして分断があったそうです。徐々に避難指示は解除されていきましたが、何があっても帰りたいと思う高齢者と、子どもの健康への影響を心配して、帰らない、帰れない若い世代がいました。ここにも深い分断がありました。そして福島に対する全国他の地域からの差別、偏見、さらに忘却という形での、日本の中での福島に対する分断。
 浜通りにいると、原発がどんな形で、人とその土地を、人と人とを引き裂いて来たかを強く感じざるを得ないのです。

 昨日の講話で、神と人・人と人との関係回復という聖書の大きなテーマについて語りました。今日の福音はゆるしがテーマですが、「ゆるし」というのは突き詰めていったら、根本のテーマはこの関係回復だと言えると思います。神と人とが親と子としての関係を取り戻す働き、そして、人間同士が兄弟姉妹として生きる関係を取り戻すこと。この二つが密接に結ばれていること、神のゆるしとわたしたち人間同士のゆるし合いが密接につながっていることを、今日の福音ははっきりと示しています。

 この関係回復は、浜通りの大きなテーマです。確かに厳しい状況ですが、この傷ついた関係をいやそうとしている地元の人たちにわたしたちはそこで出会います。そしてカリタス南相馬は、その人々と協力しながら、関係回復のために微力ながら働きたいと願っています。原町教会の信徒の中にもそういう意識があります。ここには「地域とともに歩む教会」の姿の芽生えがあります。さらに多くのボランティアが全国から来てくださり、福島を見捨てられた土地でないとあかしして働いてくださっています。
 そこにいさせていただくこと。それはわたしの今の召命(vocation)なのだと思っています。カリタス南相馬のスタッフたち、シスターたちみながそう感じていると思います。一度来てみてください。でも、そこにずっといなくてもいいのです。
 本当にどこででもいい。わたしたちはイエスの弟子として、何らかの形で、神と人・人と人との関係回復のために働くことができればいい。その大きなミッションのために一緒に働いてくれる人がもっといてほしい。信徒でもシスターでも司祭でも。そう願いながらこのミサをささげます。


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