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毎日がクリスマス

カトリック司教 幸田和生のブログです。説教メモなど

年間第26主日



今年も小高工房の一味唐辛子ができました。
赤=辛い、黄色=もっと辛い、緑=死ぬほど辛い
緑のは最初、とても人間の食べ物とは言えない、と思ったのですが、だんだんクセになってきました!

というわけで、また一週飛んでしまいましたが、いつもの説教メモです。

●年間第26主日・世界難民移住移動者の日
 聖書箇所:アモス6・1a, 4-7/一テモテ6・11-16/ルカ16・19-31
        2019.9.29カトリック原町教会
 ホミリア
 今日は世界難民移住者の日です。日本の教会では毎年9月の第4日曜日にこの祈願日が行われてきましたが、今年から9月の最終日曜日に行われることになりました。今日がその日ということになります。
 この祈願日は以前、世界的には1月、主の公現後の第3日曜日に行われることになっていましたが、各国の司教協議会の判断で他の日に決めても良いということになっていました。日本の司教協議会は種々の事情から9月の第4日曜日に行うことに決めていたのです。今回バチカンから、世界中で9月の最終日曜日に行うことにする、という連絡が来たので、今日、祈ることになりました。まあ1週間ずれただけですが、この日に「世界難民移住者の日」を行うことは日本の教会にとって特に、意味深いと思っています。それは、この日が聖トマス西と15殉教者の記念日に近いからです。
 「トマス西と15殉教者」というのは、1987年に列聖された日本の殉教者たちです。日本には無数と言って良いほどの殉教者たちがいますが、この16人は1630年代に長崎で殉教したドミニコ会の司祭、そしてドミニコ会関係の修道者や信徒のグループでした。日本の殉教者として、列福されている人は435人いますが、そのうち、列聖されているのは日本26聖人とこの16人、合わせて42人です。この16殉教者の特徴として、女性の聖人がいることは重要だと思います。長崎のマグダレナと大村のマリナ。過酷な迫害の中で殉教した女性たちの代表。そして今も信仰と愛を生きる日本の女性信者の代表と言ってもいい。

 もう一つ、特徴的なのはこの中にロレンソ・ルイスというフィリピン人の殉教者がいることです。日本では目立たないのですが、実は日本以外の国ではこの祝日は「聖ロレンソ・ルイスと同志殉教者」の名前で記念されています。2012年にペトロ・カルングソードが列聖されるまで、フィリピンで唯一の聖人でしたので、とても大切な祝日なのです。この祝日は9月28日ですが、それはロレンソ・ルイスを含む5人の司祭・信徒が殉教した日(1637年9月29日)に近いからです。偶然かもしれませんが、9月の最終日曜日に「世界難民移住者の日」を祝うことは、聖ロレンソ・ルイスを思い出させることになると思います。
 ロレンソ・ルイスは、マニラの中国人町ビノンドに生まれました。生年月日は不明ですが、中国人の父と、フィリピン人の母の間に生まれ、ビノンドの教会で洗礼を受けました。読み書きができたので、子どもの頃から熱心に教会に行き、ミサに参加していました。
 教会での生活ではロザリオ会員であり、社会的には学校卒業後は公証人となり、結婚して二人の男の子と一人の娘が生まれ、幸せに暮らしていましたが、1636年、マニラ市でおきた殺人事件に巻き込まれ、殺人の容疑がかけられました。当時の習慣では、実際に人を殺したかどうかにかかわらず、捕らえられると死刑にされるため、ロレンソはある船に乗って脱出を試みます。その船はたまたま日本宣教に旅立つ船でした。今で言えば、難民あるいは亡命者と言ったらよいでしょう。しかし、船が琉球に着いたとたんに捕らえられ、棄教すればいのちは助けると言われたにもかかわらず、神のためにいのちをささげる強い信仰はくじけず、1637年9月29日、ともに処刑される神父たちと励まし合い、賛美歌を歌い、祈りながら、神のみもとに旅立ったと伝えられています。(カトリック中央協議会編『聖トマス西と15殉教者』1988による)

 この聖ロレンソ・ルイスは、難民と移住者の代表と言ってもいいのではないか。特に日本に来ているフィリピン人の信徒、さまざまな困難や悩みを抱えながら日本で生きているフィリピン人の信徒にとっては、親しみを感じる存在でしょう。そのロレンソ・ルイスのことを思いながら、今日、世界の難民・移住者・移動者のために祈りましょう。
 今年の「世界難民移住者の日」の教皇メッセージのタイトルは「移住者だけのことではありません」というものです。見知らぬ人に対する恐れを乗り越えること。自分の仲間以外の人を愛すること。たまたま出会った人に対して共感のこころを持つこと。小さくされた人、貧しい人、もっとも弱い立場にある人を尊重すること。後回しにされた人を最優先すること。すべての人を兄弟姉妹として受け入れること。それは全部、移住者や難民の問題というだけでなく、わたしたちが日々出会うすべての人、そしてこの世界のすべての人にどう向き合うかが問われている問題なのだと教皇は言っています。

 今日の福音は有名な「金持ちとラザロ」のたとえです。貧しい人に助けの手を差し伸べなければならないというメッセージは明快です。いろいろな解説をしないで、素直に受け取りたいと思います。解説をすればするほど、わたしたちが貧しい人に対して何もしないための言い訳のようになってしまうからです。

 教皇はメッセージの結びにこう言います。
 「現代の移住現象が抱える課題への対応は、受け入れる、守る、励ます、共生するという四つの動詞にまとめることができます。しかし、これらの動詞は移住者と難民だけに当てはまるのではありません。それらは、受け入れられ、守られ、励まされ、共生することを必要としている、周縁で生活するすべての人に対する教会の使命を表しています。」
 「受け入れる、守る、励ます、共生する」英語では「welcome, protect, promote and integrate」となっています。日本の難民移住移動者委員会では、「受け入れる、保護する、促進する、共生する」と訳しているようです。promoteは「促進する」つまり本当にふさわしい尊厳をもって生活できるように助けることです。integrateは「統合する」と訳される言葉ですが、「違いを認めつつ、助け合って共に生きる」ということでしょう。
 本当にすべての人に対して、この心を持つことができますように、そしてそれを少しでも実践することができますように、心から祈りたいと思います。


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