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毎日がクリスマス

カトリック司教 幸田和生のブログです。説教メモなど

年間第28主日



台風一過の青空です。
でもこの台風の被害は大きなものでした。
福島でも各地で川が氾濫し、堤防が決壊し、亡くなられた方もいらっしゃいました。
犠牲となった方々、被災された方々のために祈ります。

●年間第28主日
 聖書箇所:列王記下5・14-17/IIテモテ2・8-13/ルカ17・11-19
        2019.10.13カトリック原町教会
ホミリア
 大きな台風でした。近づくよりもずっと前の、昨日の午後4時ごろから雨風が強くなり、真夜中まで続きました。相馬市の宇多川、原町区の新田川、そして阿武隈川も氾濫しました。いまだに被害の全容はわかりません。昨日の夜、カリタス南相馬でも皆が集まっていました。一人暮らしのシスターも避難してきました。本当にたいへんなとき、人の心は一つになる、ということを思い出しました。

 今日の福音にもそんな雰囲気があるのではないでしょうか。
 サマリア人とユダヤ人はもともと同じ民族でしたが、紀元前10世紀に政治的・宗教的に分裂し、その後、民族的にも別の民族のようになっていきました。近いがゆえに反発し合っていたと言われています。
 サマリア人とユダヤ人が共通に持っていた聖書はモーセ五書と言われる創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記。いわゆる律法の書でした。そのレビ記の中に、重い皮膚病についての次の規定がありました。
 「重い皮膚病にかかっている患者は、衣服を裂き、髪をほどき、口ひげを覆い、『わたしは汚(けが)れた者です。汚れた者です』と呼ばわらねばならない。この症状があるかぎり、その人は汚れている。その人は独りで宿営の外に住まねばならない」(レビ記13章45-46節)。

 重い皮膚病というのはある程度まで今でいうハンセン病と重なっています。ハンセン病を引き起こす菌は伝染性が弱く、簡単には伝染しないと言われますが、この病気は古代から恐れられていた病でした。肉体的な苦しみはもちろんありましたが、聖書の世界では「宗教的な汚れ」と考えられ、その汚れを人に移さないように、「自分は汚れているから近寄らないように」と言い続けなければならないことになっていたのです。そして「宿営の外に住む」、つまり共同体から追放されました。神からの断絶、人からの断絶、これも本当に大きな苦しみであったと言えます。
 今日の福音にはこの重い皮膚病の人が10人登場します。9人はユダヤ人で、1人はサマリア人でした。彼らはそれぞれ、自分の生きていた町や村の共同体やから追放されて、身を寄せ合って生きていました。その苦しい状況の中では、ユダヤ人であるとか、サマリア人であるというそんな違いは問題ではなかったのでしょう。苦しみの中での連帯が感じられます。

 わたしたちは大きな災害の中でそんなことを感じることがあるかもしれません。本当にたいへんなとき、人はいろいろな違いを超えて、一つに結ばれることができる。
 今日はとりあえず、それしか言えないように思います。
 本当に苦しいときに、わたしたちが互いに一緒にいられるものになれますように。そしてその中で支えあって生きることができますように。そう祈りたいと思います。

 しかし同時にまた、わたしたちキリスト者は、そこにイエス・キリストがいてくださる、と信じています。
 今日の福音で、「イエスさま、先生、どうか、わたしたちを憐れんでください」という叫びに耳を傾け、近づいてきてくださる方。そのイエスは苦しむ人とともにいてくださる方です。第二朗読で「わたしたちは、キリストと共に死んだのなら、キリストと共に生きるようになる。耐え忍ぶなら、キリストと共に支配するようになる。」そう言われているイエスは、どんな苦しみの中にあっても、わたしたちと共にいてくださる。そう信じています。

 そう感じながら、今日特に苦しむすべての人のために祈りたいと思います。
 病気の苦しみの中にある方。病気や障害のゆえに、差別や偏見の目にさらされている方。
 人種・民族・国籍によって差別されたり、排除されている人。弱い立場に置かれている移民や難民の方々。特に日本で難民申請をしながら、入管の施設の中で希望を持てないまま、過酷な状況で生きている方々。
 災害に遭われた方。家族や大切なものを失ってしまい、取り戻すことのできない悲しみの中にいる方々。
 その方々の苦しみをわたしたちが少しでも分かち合うことができますように。イエスがそうなさった、と信じるからこそ、わたしたちも少しでも、イエスと同じように人の苦しみとともにあることができますように。

 そしていつか、その人々とともに、賛美と感謝をささげることができますように。今日の福音のサマリア人が、感謝と賛美をささげたように、わたしたちも! そう心から祈りながら、今日のミサを捧げたいと思います。


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